Story of "Glory Blue"

written by Toru Fujie

クサギ染め

今から4年ほど前、LIKE THISでオーガニックコットンTシャツを作り始めた頃から、染色もGood Vibrationなものにしたいと思っていた。その頃から天然染料、とくに草木染めを強く意識するようになり、なんでも自分の手で作りたがる性格の僕は、LIKE THIS STUDIOと称したアトリエスペースを占拠し、草木染めを始める。色素の量や強さに差はあるが、植物であれば何でも染められる(=マテリアルを自分で採りにいける!)草木染めは、僕のDIYセンサーをビンビンに刺激した。そんな中、染料店では売っていない「クサギの実」という希有な存在を知る。クサギの実は、藍以外で青系を染められる数少ない植物のひとつと言われていて、そんなレアもの感がそそったのを覚えている。その当時、ポケモンGOが流行っていて、近所の里山公園でレアキャラを探して森の中を徘徊する人々を余所目に、息子と二人で意気揚々とクサギを探していたのを思い出す。

クサギ

クサギの葉の中でアマガエルが寝ていることも。クサギの葉は、アマガエルの匂いがするなぁと思っていたのが腑に落ちた。

とはいえ30年以上生きてきて、聞いたことも見たこともない植物を探すことは容易ではなく、グーグルでようやく足がかりを掴んだのが、とある植物好きのおじさんのブログ。そこに載っていた情報を頼りに、都内の某公園に行ってはじめてクサギを目視するも、公園の植物を採取することは基本NG。そこでは落ちてる実を拾うくらいしかできなかった気がする。ただ、不思議なことに、一度出会ってみると、以外にも近所の駐車場や公園などで目にするようになる。はじめて人目を気にせずに、がっつりと収穫できたのは、愉快な栃木の仲間たちが主催する「モックンモックンモックンキャンプ」という、どローカルキャンプフェスへ向かう途中の高速道路脇の道だった。2歳に満たない息子と二人日帰りで栃木へのロングドライブとクサギの収穫は、良い思い出として残っている。最近では自慢の嗅覚で、僕が住む多摩丘陵エリアでもクサギスポットを次々に発見できるようになった。

クサギ

はじめて人目を気にせず収穫した時の一枚

クサギ

毛利梅園 百花画譜から

クサギは、日当たりの良い原野に自生する落葉の低木で、葉に傷がつくと独特の匂いがすることから「臭木」と呼ばれている。春の若葉は、アクをとって食用になり、夏の茎葉は健康茶として用いられる。漢方の生薬としては「臭梧桐(しゅうごとう)」と呼ばれ、リウマチや半身麻痺などの症状に用いられる。夏に白い花を咲かせ、秋にマゼンダの萼(がく)と美しい瑠璃色の実をつける。そんな収穫したクサギの実で染めた淡く美しい水色に心踊るも、残念ながらクサギの実で綿や麻を染めても、退色・変色しやすい。そして、かなりの量が必要なので、なかなか商品として染めるには難しい。

クサギ

一方、LIKE THISで採用している「ボタニカルダイ Botanical Dye」は、従来の草木染めでは考えられないほど、少量の実から染めることができる。草木染めの10倍以上の量を染められる!そして退色の具合も良い感じ。できればデニムのようにゆっくり色落ちしていくような、変化を楽しめる色を目指している。20世紀の後半頃、今よりももっと、植物染料の色落ちや変色に対して、マーケットがシビアな目を向けていた時代だったという。そんなマーケットに対する手段として確立されたボタニカルダイは、結果として、僕たちの身近な植物から色を採ることができるエモーショナルで、サステナブルで、そして脱バビロンなライフスタイルを目指す上でも非常にポジティブな染色技術なのだ。

そんなこんなで、こつこつと収穫・冷凍保存してきたクサギの実で染め上げたボタニカルダイTシャツをリリース!